日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう? ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。今回は山口県岩国航空基地の「チキンチキンれんこん」。地元名産品の岩国れんこんを鶏肉と一緒に揚げて甘辛いたれにからめた、ご飯がもりもり進む料理です。
航空ファンに大人気!岩国航空基地とは
錦川に架かる、日本3名橋の1つとされる錦帯橋で有名な山口県岩国市にある海上自衛隊岩国航空基地。歴史は古く1938年、錦川の三角州に旧海軍が飛行場を建設したことに始まり、終戦後、52年に在日アメリカ軍基地となり、57年、基地内に海自の部隊(岩国航空教育派遣隊)が新編され、以降、日米共同使用の基地として今に至っています。さらに岩国錦帯橋空港として一部民間機も使用する全国でも数少ない軍民共用の飛行場を有し、多様な種類の航空機が日々上空を飛び交う上、国内唯一の国産救難飛行艇US-2を運用するため、航空ファンの間で人気の基地です。
現在は第31航空群司令部を中心に、捜索救難と輸送を行う第71航空隊、警戒監視や情報収集を行う第81航空隊、自衛隊唯一の航空掃海部隊である第111航空隊、砕氷艦『しらせ』所属のしらせ飛行科などが所在しています。
ご当地ソウルフードをアレンジ!「チキンチキンれんこん」
今回紹介する「チキンチキンれんこん」は、「チキンチキンごぼう」(※詳細は記事の最後を参照)という山口県のソウルフードをヒントに、ゴボウの代わりに岩国市の特産品であるレンコンを使用してアレンジしたものだそう。その岩国れんこんは、デンプン質が強く、粘りがあるのが特徴。おかずとして十分な食べ応えが出るように、少し大きめに切るといいそうです。
甘辛だれとからむジューシーな鶏肉とシャキシャキとした食感のレンコンはご飯が進むと県内出身の隊員はもちろん、他県出身の隊員も大絶賛のメニューです。
おつまみとしても最高
「シャキシャキのレンコン、やわらかい肉、彩り鮮やかなサヤインゲンがそろい、1度で味、食感、見た目を楽しめる料理です」(1曹/男性・40代)
「鶏肉とレンコンのこってり甘辛味と、ゆでサヤインゲンのナチュラルな味のバランスがよく、食欲をそそる1品です」(3曹/女性・30代)
「もう1品ほしいというときに小鉢で出してほしいおかず。甘辛味はビールにも合うので、おつまみとしても最高です!」(1曹/男性・40代)
大量調理ゆえの工夫も
【海上自衛隊 岩国航空基地隊厚生隊給養班3等海曹 小野坂太郎】
当基地に赴任して約2年。岩国市出身ですが、残念ながら「チキンチキンごぼう」を学校給食で食べた経験はありません。でも隊員に大好評のメニューなので、なんだか誇らしい気分ですね。
ランチで300〜350人分を作る大量調理ではどうしても食べるまでに時間がたってしまいます。保温している間に水分が飛び、味が濃くなってしまうので少し薄味に仕上げたり、揚げ物は気持ち長めに揚げてサクサク感を保つようにしたりと、工夫しています。また中途半端な味にならないよう、メリハリのあるおいしさを追求していきたいです。
「チキンチキンれんこん」のレシピを紹介
<材料(2人分)>
鶏モモ肉(3㎝角くらいに切る):200g
レンコン(ひと口大に切る):100g
塩、コショウ:各少々
片栗粉:適量
サラダ油:適量
【A】
しょうゆ、砂糖、みりん、水:各大さじ2
七味唐辛子(好みで):適量
白ゴマ:少々
サヤインゲン(塩ゆでし、半分に切る):適量
<作り方>
1:鶏肉とレンコンは塩、コショウで下味を付け、片栗粉を全体に薄くまぶす。
2:フライパンにサラダ油を3cm深さまで入れ、180℃に熱して①を入れ、上下返しながら揚げる。きつね色になったら取り出し、油をきる。
3:小鍋にⒶを入れて混ぜ、中火でひと煮立ちさせる。②を加え、手早くからめる。
4:器に③を盛り、白ゴマをふり、サヤインゲンを添える。
注目料理:チキンチキンごぼう
1995年ごろ、山口市内の小学校で学校給食を子どもたちにもっと楽しんでもらおうと各家庭のオリジナル料理を募集することになった際、おばあちゃんがよく作る「鶏肉とごぼうの甘辛煮」を子どもたちが喜びそうな料理名に変えて応募した母親がいた。それを給食で提供したところ大人気に。当時の栄養教諭が参考献立として市に提案、他校でも採用されて広がり、今では山口県のソウルフードとして定着している。
<調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/山川修一(扶桑社) 写真提供/防衛省>