•  防衛省・自衛隊は2020年7月26日に、初となる「せり売り」(不用物品オークション)を実施した。練習艦の操だ輪、パイロットのヘルメット、輸送機の操縦かんなどが出品され、合計581万8000円の売却金額が集まり話題となった。

     古くなって退役した装備品に高額の値段が付くとはマモル編集部もビックリ!そこで、急きょサバイバルタレントのらんまるぽむぽむタイプα氏、軍用車コレクターの松井裕一朗氏、神保町軍装店 代表の川裕弘氏に声をかけ「マモオク鑑定団」を結成。自衛隊の不用物品について、一緒に考えてもらうことにした。

     マモオク尊定団は、それぞれの道の専門家集団。「もしお金に糸目をつけずに自衛隊の装備品が手に入るとしたら、団員は何を欲しがるのか」を知れば、おのずと自衛隊不用物品の価値感が分かる? 団員それぞれに、自由に提案してもらった!

    87式自走高射機関砲

    画像: パワーとスピードを備えた陸上自衛隊の自走式対空砲。対空レーダーと対空機関砲を2門装備、時速53キロメートルで走行し敵航空機を攻撃する

    パワーとスピードを備えた陸上自衛隊の自走式対空砲。対空レーダーと対空機関砲を2門装備、時速53キロメートルで走行し敵航空機を攻撃する

    <SPEC>
    全幅:3.18m 全長:7.99m 全高:4.4m 全備重量:約38t 速度:約53km/h

    とにかくかっこいい!1両丸ごと欲しい!(らんまるぽむぽむタイプα)

    「初めて出会ったときから一目ぼれです。おなか(車体)が出ている感じや二の腕(砲)のガチムチな見た目が好きで、74式戦車に近い足回りで縦横無尽に駆け巡る音もすてきです。そんなにゴツい体なのに、索敵レーダーがクルクルまわっているのがかわいい。そのギャップが萌えますね。絶対欲しい!」(らんまるぽむぽむタイプα)

    F-4の機番付き垂直尾翼

    画像: F-4EJは、アメリカ空軍のF-4Eを改造した戦闘機で、日本での運用には不必要な装備を取り除き、空対空戦闘に特化したもの。F-4EJ(改)は、レーダーの近代化などの改修がされたもの。通称「ファントム」

    F-4EJは、アメリカ空軍のF-4Eを改造した戦闘機で、日本での運用には不必要な装備を取り除き、空対空戦闘に特化したもの。F-4EJ(改)は、レーダーの近代化などの改修がされたもの。通称「ファントム」

    <SPEC>
    全幅:11.7m 全長:19.2m 全高:5.0m 最大速度:約2700km/h 乗員:2人

    引退するなんてもったいない!いつまでも自宅に飾りたい!(らんまるぽむぽむタイプα)

    「引退するF-4を惜しんでのセレクトです。もともと百里基地(茨城県)にある戦闘機部隊が大好きで、そこでよくF-4を見ていました。垂直尾翼のマークや機種番号を見ると、そういったことも思い出します。玄関前に表札がわりに置きたいですね。廃棄するくらいなら、私にください!」(らんまるぽむぽむタイプα)

    【らんまるぽむぽむタイプα】
    ミリタリー、サバイバルの知識が豊富なタレント、防災士。著書に「彼氏にしたい陸自装備ベスト10」(竹書房)がある

    BADGEシステムの航空現況表示コンソール

    対領空侵犯措置の最前線で戦った、自衛官時代を思い出す物品(松井裕一朗)

    画像: 「自動警戒管制組織(BADGEシステム)」は、日本周辺の空域を監視し、接近する不明航空機などに対処する空自のシステムで、1960年代から2009年まで使用された。現在はJADGEシステムに置き換わっている

    「自動警戒管制組織(BADGEシステム)」は、日本周辺の空域を監視し、接近する不明航空機などに対処する空自のシステムで、1960年代から2009年まで使用された。現在はJADGEシステムに置き換わっている

    「私が現役空自隊員だったときにこのBADGEシステムの改修、運用、退役まで関わっていました。毎日このコンソールに触って対領空侵犯の最前線で戦った、私の自衛隊キャリアそのものです。 アニメ『機動警察パトレイバー2 the Movie』にも登場していますから、意外に欲しいという人も多いのではないでしょうか。大きいので置く場所には困りそうですが(笑)」(松井裕一朗)

    パイロット用の救命糧食

    「ガンバレ!」というメッセージが自衛隊らしい、非常食(松井裕一朗)

    画像: 海自と空自で支給される救難非常食で固形のA食とゼリータイプのB食が入っている。不時着した隊員の生命を守るために高カロリーになっている(写真はA食)

    海自と空自で支給される救難非常食で固形のA食とゼリータイプのB食が入っている。不時着した隊員の生命を守るために高カロリーになっている(写真はA食)

    「いかにも自衛隊らしい物品ということで選びました。 別名「ガンバレ食」とも呼ばれる非常食ですが、開封すると「必ず助け出すからガンバレ」という主旨の熱い思いがシンプルに紙に書いてあります。どんなときも諦めないという、自衛隊の魂が込められていると思います。もし手に入っても、もったいなくて食べられないでしょうね(笑)」(松井裕一朗)

    【松井裕一朗】
    英軍専門の軍用車コレクター。「ミリタリーアンティークス大阪」の館長。元航空自衛官で現在は航空予備自衛官

    AH-1Sのコックピット内ミラー

    一切の無駄がないコックピット内の意思疎通用の鏡が面白い!(前川裕弘)

    画像: アメリカで開発され日本でライセンス生産されている対戦車ヘリコプター。前席に射撃手、後席に操縦士が縦一列に搭乗する、タンデム式コックピットを採用

    アメリカで開発され日本でライセンス生産されている対戦車ヘリコプター。前席に射撃手、後席に操縦士が縦一列に搭乗する、タンデム式コックピットを採用

    画像: 一切の無駄がないコックピット内の意思疎通用の鏡が面白い!(前川裕弘)

    「AH-1Sの、スリムな外観もそうですが、特に前部座席の片隅に付けられているミラーが良い。後部座席の操縦士とアイコンタクトを取るための鏡で、いわば「意思疎通の命綱」。使われていたシーンを想像すると、非常にロマンを感じます。数少ないレアものも魅力的ですが、そういった背景がある物品に強く引かれます。ぜひとも入手したいミラーですね」(前川裕弘)

    【前川裕弘】
    旧日本軍の実物軍装品店「神保町軍装店」の代表。映像作品の軍装考証を手掛けるほか、書籍の監修・執筆も行う

    (MAMOE2021年1月号)

    <文/古里学 撮影/田中秀典>

    マモオク鑑定団、参上!

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