•  日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう? ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。

     今回は新潟県新発田駐屯地の「タレカツ丼」です。薄めのトンカツを甘辛いしょうゆだれにくぐらせてご飯にのせたシンプルな料理は、新潟県民のソウルフード。いつもの卵とじとは違ったカツ丼をご賞味あれ!

    門柱は白壁で城門風! 陸上自衛隊新発田駐屯地

    画像: 城門風の門柱が目を引く駐屯地正門。正門から望める建物は、新発田城址の景観になじむ造りとなっている

    城門風の門柱が目を引く駐屯地正門。正門から望める建物は、新発田城址の景観になじむ造りとなっている

     陸上自衛隊新発田駐屯地は、日本有数の米どころとして知られる新潟県越後平野の北部にあります。1953年に開設された当駐屯地は、1598年に初代新発田藩主の溝口秀勝が築城した新発田城の跡地にあり、門柱は白壁で、城門風となっています。

     しっくい塗の純白でモダンな旧軍兵舎を移築・復元した「白壁兵舎広報史料館」が2014年に開館。旧陸軍の貴重な歴史的史料も多数展示されています。基幹部隊は第30普通科連隊で、ヘリコプターを用い部隊を展開する第12旅団の隷下部隊として、国民の平和と生命、財産を守るために日々訓練に励んでいます。

    新潟県民のソウルフード「タレカツ丼」

    画像: 新潟県民のソウルフード「タレカツ丼」

     訓練で疲れた隊員のパワーの源になっている人気メニューが、今回紹介する「タレカツ丼」。新潟でカツ丼といえば、卵とじのカツ丼ではなくこれ!

     北前船で栄えた新潟の港町には、洋食文化が早くから取り入れられ、西洋料理店も多かったそうです。昭和初期ごろに、老舗の店が当時モダンな料理だった「カツレツ」を和風の味付けにして丼にしたのが始まりなのだとか。豚肉をたたいて薄くするのがポイントで、衣を付けて揚げた、サクサクのカツを少し濃いめの甘辛しょうゆだれにくぐらせてご飯にのせるだけ。

     駐屯地では予算に余裕があるときには、地元ブランドの「越後もち豚」を使い、地元特産のアスパラガスをトッピングするのだそうです。メインがガッツリ肉系なので副菜にはあっさりとした野菜のあえものや酢のものに、みそ汁などの汁ものを付けて提供されています。

    薄めのカツが食べやすい!

    画像: 食欲旺盛な若い隊員らが多く集う食堂。バラエティーに富んだメニューは、隊員の日々の活力の源となっている

    食欲旺盛な若い隊員らが多く集う食堂。バラエティーに富んだメニューは、隊員の日々の活力の源となっている

    「一般的なトンカツと違って薄めなので、食べやすいです。甘辛いたれとカツ、ご飯の相性が抜群でおいしいです!」(士長/男性・20代)

    「新潟県で有名なタレカツ丼。カツは食べ応えがあり、たれが付いたご飯も絶品。ぜひ他県の人にも食べてほしい1品です」(3曹/男性・20代)

    「肉は薄いけどジューシー。甘辛いたれとご飯がよく合い、どんどん進みます。これでキツイ訓練も乗り越えられます!」(3曹/男性・20代)

    もりもりとおいしそうに食べている隊員の姿を見てうれしい

    【陸上自衛隊 新発田駐屯地業務隊補給科 栄養士 吉井育子】

     病院と高齢者施設での勤務を経て2007年に入隊しました。当初は前職場に比べ、食べる人が必要とするエネルギー量が倍ほど多いことに驚いたと同時に、もりもりとおいしそうに食べる隊員の姿を見てうれしかったことを覚えています。

     約250人の献立作成では、1食ずつの栄養バランスと1カ月間の食材バランスに気を使っています。また、大量調理なので、時間の経過とともに味が染み込みすぎたり、逆に薄まったりすることがあるのが難しいところ。作りたてのおいしさを持続させるにはどうしたらよいか、試行錯誤の毎日です。

    「タレカツ丼」のレシピを紹介!

    <材料(2人分)>
    ご飯:丼2杯分
    豚ヒレ肉または豚ロース肉(8等分に切る):250g
    塩、コショウ:各適量
    小麦粉、溶き卵、パン粉:各適量
    揚げ油:適量

    [甘辛しょうゆだれ]
    みりん、砂糖、しょうゆ:各大さじ2
    めんつゆ(ストレート)、水:各大さじ3

    [トッピング]
    アスパラガス(半分に切り、素揚げまたは塩ゆでする):2本
    紅ショウガ:適量

    <作り方>
    1:豚肉は肉たたきや麺棒などで厚さ0.5〜1㎝くらいになるまでたたき、塩、コショウで下味を付ける。
    2:①に小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせ、パン粉をまぶして衣を付ける。
    3:甘辛しょうゆだれを作る。小鍋に調味料と水を入れて火にかけ、ひと煮立ちさせる。
    4:揚げ油を180℃くらいに熱して②を揚げ、油をきり、熱いうちに③にくぐらせる。
    5:器にご飯を盛り、上に④をのせ、トッピングものせる。好みで残ったたれをさらにかけてもよい。

    注目食材:越後もち豚

    画像: 注目食材:越後もち豚

    「越後もち豚」は新潟県の特定14農場で飼育される「和豚もちぶた」に付けられたブランド名。トウモロコシと大豆ミールをベースにした飼料で育てられた肉は、肉質がきめ細かくてなめらか、臭みがない、やわらかい、良質の脂肪が変化しにくく日持ちがよい、と定評がある。

     肉類の中でも豚肉には「疲労回復ビタミン」とも呼ばれるビタミンB1が豊富に含まれ、糖質をエネルギーに変換することで筋肉疲労の回復に大いに役立つほか、生活習慣病予防、免疫力アップなどの効果があるとされている。

    <調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/林絋輝(扶桑社) 写真提供/防衛省>

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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