•  3カ月の自衛官候補生教育で自衛官の基礎を身に付けた候補生。彼らはこれから3カ月間、現場部隊に配属された上で「新隊員特技課程」と呼ばれる専門的な教育訓練を受ける。

     新隊員たちが迎える各職種部隊について説明するとともに、候補生を受け入れる各部隊を代表して、メッセージをくれた小隊長のコメントを紹介しよう。

    普通科

    画像: 普通科

     陸上自衛隊で最も多くの隊員が所属し、外国では「歩兵」に相当。陸上自衛隊の主力であり、地上戦闘における骨幹部隊として、機動力、火力、近接戦闘能力を持つ。主な装備品は、89式5.56mm小銃など。敵を撃破・捕捉し必要な地域を占領・確保する。

    「普通科は日本防衛の要!いろいろ挑戦できます!」(田中李歩2等陸尉/福岡県出身。香川県の善通寺駐屯地に所在する、第15即応機動連隊所属)

    野戦特科

    画像: 野戦特科

     野戦特科は、外国の陸軍では「砲兵」に相当。19式装輪自走155mmりゅう弾砲や、12式地対艦誘導弾などの強力な火砲を備えた戦闘部隊。大量の火力を任意の時間・場所に集中し、広範な地域を制圧、これによって普通科などの戦闘を有利にする。

    「火力の中心となって頑張ろう!チームワーク重視の部隊です」(大下雄世3等陸尉/愛媛県出身。兵庫県姫路市に所在する姫路駐屯地の第3特科隊所属)

    高射特科

    画像: 高射特科

     87式自走高射機関砲03式中距離地対空誘導弾などの各種地対空ミサイルを装備。対空戦闘部隊として、わが国の領土に飛来する敵の航空機やミサイルなどを撃墜する。普通科をはじめとする地上部隊を守るために重要な役割を担っている。

    「一撃必墜!防空の要!」(甲木雅人2等陸尉/福岡県出身。兵庫県小野市に所在する青野原駐屯地の第8高射特科群所属)

    機甲科

    画像: 機甲科

     10式戦車をはじめとする各種戦車や16式機動戦闘車の火力や装甲防護力を生かして任務を遂行する戦車部隊と、偵察用バイクなどの優れた機動力を用いて情報収集や警戒任務などを行う偵察部隊がある。

    「陸の王者、機甲科へようこそ。戦車のエンジン音に震えろ!」(髙橋駿太2等陸尉/東京都出身。岡山県勝田郡に所在する日本原駐屯地の第13戦車中隊所属)

    衛生科

    画像: 衛生科

     有事・災害時などにおける負傷者や患者の治療を行うほか、隊員の健康管理、防疫、衛生資材などの補給整備などを担う。災害派遣では、民間の被災者の医療支援を行うこともある。医師、看護師や准看護師の資格を取得している隊員も多い。

    「傷ついた人を救う、陸上自衛隊の医療チーム」(宮内裕章1等陸尉/鹿児島県出身。愛知県春日井市に所在する春日井駐屯地の第10後方支援連隊衛生隊所属)

    需品科

    画像: 需品科

     食糧、燃料、水、被服など、武器以外の自衛隊の“物品”に関わり、隊員の生活面のサポートを行う。災害派遣が行われた際、野外に設置される「風呂」や「給水」、食事の提供、洗濯の支援なども需品科の任務だ。

    「陸自の縁の下の力持ち!共に前に進んでいこう!」(盛口孝文3等陸尉/大分県出身。京都府京都市に所在する桂駐屯地の第101補給中隊に所属)

    陸上自衛隊 そのほか10の職種はコレ!

    1. 施設科

     ブルドーザーなどの施設器材を使い、障害の構成や処理、陣地構築、渡河、道路敷設などの作業を行い、戦闘部隊の行動を支援する。保有する施設器材の整備なども担当する。

    2. 通信科

     各種通信器材を使って部隊間の指揮連絡のための通信を確保し、電波妨害からの防護など「電子戦」の主力としても活躍する。写真・映像の撮影、処理なども担当する。

    3. 航空科

     各種ヘリコプターを中心とする航空機で、火力戦闘、航空偵察、輸送などの任務を果たし地上部隊を支援する。パイロットのほか整備や航空管制を担当する隊員などが所属。

    4. 情報科

     衛星写真や無線通信などから各種情報資料を収集し、自衛隊の活動に必要な地図製作などを担当。情報収集のため、諸外国で発行されている新聞など、出版物の翻訳も担当。

    5. 武器科

     各部隊が装備する火器や各種車両、誘導武器の整備、弾薬の補給などを担う。整備・修理のほか、第2次世界大戦時の不発弾の処理を行ったりもする。

    6. 輸送科

     陸上・海上・航空輸送全般を司り、隊員や火器、重機などの各種装備を輸送。物資の積み替え業務なども担当する。民間企業と協力し物資や装備品の輸送を行うこともある。

    7. 化学科

     生物兵器、化学兵器や核兵器など特殊武器からの防護を担当。各種化学器材を用いて、汚染地域における偵察、人員、装備品などの除染を行う。

    8. 警務科

    「自衛隊の中の警察」として、駐屯地内で起きる犯罪の捜査や容疑者の逮捕、要人警護、交通統制など、部内の秩序維持に寄与する。国賓に対し儀礼を行う儀じょうも担当。

    9. 会計科

     部隊が必要とする物資の調達に関する業務、食糧や各種物品の購入契約や、隊員の給与支払い、旅費精算などの会計業務を行う。税務署への税金納付なども会計科の役割だ。

    10. 音楽科

     演奏の専門家が集まる音楽科は、音楽演奏を通じて隊員の士気を鼓舞するとともに、国民向けの広報活動などで活躍。国家的儀式などでの演奏でも重要な役割を果たす。

    (MAMOR2022年10月号)

    <文/臼井総理 撮影/村上淳>

    これが新入り陸上自衛官のリアル・ドラマだ!

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