•  自衛隊で掃除術に磨きをかけ、退職後にその技術をビシネスにしている元レンジャー隊員がいる。お掃除レンジャーこと畠山大樹さんに家庭で実践できる“自衛隊式掃除術”を伝授してもらった!

    【お掃除レンジャー代表取締役 畠山大樹】
    1990年、北海道生まれ。22歳で陸上自衛隊入隊、第1空挺団に所属。元々掃除も整理整頓も苦手だったが、入隊後掃除好きに。その技術を生かし「お掃除レンジャー」を起業

    掃除に才能は必要なし!ルーティン化していこう

    「掃除や片付けの究極の目的は『サバイバル』です」と断言する畠山さん。自衛隊で清掃や片付けを行うのは、まさにそのため。例えば有事の際、床に物が散乱していると行動のスピードが落ち、命の危険につながる。

    「何度も繰り返して、きれいな状態を保つのが自衛隊の掃除です。掃除に才能は必要ありません。掃除を習慣にすることで意識も変わると思います」

    掃除は大胆かつ丁寧に行え!

    フローリングの掃除にはウエットシートがお勧め。シートをこまめに替えるより、水や洗剤を床に直接吹き付け、濡らしながら拭くのが効果的!

     掃除はできるだけ大胆かつ手早く行うのが効率的。例えば台所や浴室の掃除では、雑巾で細かく拭くよりも、シャワーなど水流で一気に流したほうが早くて楽。効率を重視するのが掃除を「苦」にしないコツだ。また、大胆に掃除するためには物が少ないほうがいい。床に物が散らばっていてはダメ。日ごろから物を減らし、片付けておくと、掃除が楽になる。

    細部こそ心を込めて掃除せよ!

    見落としがちなのが、床と壁面の境にある「幅木」の上。天井に向いている所にはどこでもほこりがたまるので、忘れず拭き取る

     きれいに見える部屋も、細かい所が汚れていると目立つ。いすやテーブルの裏、それらの脚が接地する部分、カーテンレール、クローゼットなどの扉の縁、テレビの裏などもほこりがたまりやすいので定期的に掃除をしよう。水回りでは、蛇口などをピカピカに磨くと、実際以上に部屋をきれいに見せてくれるので、お勧めだ。

    暗闇の清掃は光を活用せよ!

    電子レンジの庫内は思っている以上に汚れている。中が暗くて見づらいため、汚れが目立たないのだ。懐中電灯で照らして汚れを「索敵」せよ!

     レンジやグリル、家具と家具の隙間などの暗い場所は、懐中電灯を片手に持ち、光を当てながら掃除する。普段目につかない所こそ、ほこりや汚れはたまるもの。特に電子レンジは、毎日のように使うのに掃除がおろそかになりがちな場所。軽く絞ったタオルをレンジで温め、庫内が温かいうちに拭き掃除をすると、冷えている状態よりも汚れが浮いて取れやすくなる。

    ベトベト汚れは放っておけ!

    キッチンでこびりついた油汚れを発見したら、洗剤を付けて放置するのが楽。その後こすり落とせば楽々きれいに。食器用漂白剤も使える

     面倒な油汚れは、つけ置き洗いで落とそう。キッチン回りのものは、食器用漂白剤で約10分、もしくは台所用洗剤を付けて30分程度放置。その後、金たわしでこすり落とせばOKだ。また、換気扇のファンなども含め、外せるものは全て外してお湯を張った浴槽へ。油汚れ用の洗剤を入れてつけ置きすれば、ひどい汚れも落ちやすい。

    浴室は掃除の演習場だ!

    月に1度くらいのペースで、家中の換気扇カバーやファン、エアコンのフィルターなどを浴室でまとめて洗おう。水を掛け、ブラシでこすって汚れを落とす

     換気扇やエアコンのフィルターなどは、しつこい汚れが付きやすい。だからこびりつく前に浴室でシャワーで一気に洗ってしまうのが効率的だ。多少濡れても気にならないし、掃除が終わった後に浴室の掃除も行ってしまえばよい。このほかにも、台所や洗面所、浴室の排水溝やタイル、洗濯機の裏側、窓、ベランダなど、週1なり月1なりのペースで徹底的に掃除することをお勧めする。

    敵に合わせて道具を選べ!

    画像: 敵に合わせて道具を選べ!

    かび取り用洗剤は、浴室だけでなく凹凸のある壁のクロス張りの掃除にも使える。使い方は洗剤をかけて放置するのではなく、吹きかけたらすぐ拭き取る

     場所や汚れに合わせ掃除道具や洗剤を使い分ける。床にはウエットシートタイプのペーパーモップなど。そのほかの掃除には濡れ雑巾、がんこな汚れには、水を付けたメラミンスポンジが基本だ。細かい部分の掃除は使い古しの歯ブラシなども使える。洗剤は住宅用の中性洗剤をメインに、台所用漂白剤やかび取り剤などを使い分ける。洗剤は必ず説明書きをチェックし、塩素系と酸性の洗剤は混ぜないように気を付ける。

    武器の手入れは怠るな!

    画像: 武器の手入れは怠るな!

    自衛隊では武器の手入れはいつも念入りに行う。掃除用具も同じだ。汚れた掃除用具を使っているようでは、部屋をキレイにすることはできない

     見落としがちなのが、掃除用具そのものの手入れ。掃除機の吸い込み口、ローラー部分のほこりは除去しよう。パイプ類、本体も拭いておく。フィルター掃除も忘れずに。床拭き用のペーパーモップも、床に当たる面はもちろん、持ち手やパイプ部分もきちんと拭く。スポンジ類は吸収力が落ちる前に交換しよう。道具を手入れして、常に最良のパフォーマンスを発揮できるようにしておくのが自衛隊式だ。

    万が一を意識した整理を心掛けよ!

    画像: 万が一を意識した整理を心掛けよ!

    ベッド周辺にはできる限り物を置かない。いざというときに役立つ3つのアイテム(懐中電灯・スリッパ・非常持出袋)をベッドの脇に用意

     就寝中に地震などの災害が起こった際、物が散乱した床では素早い対応ができず、危険だ。そのため、寝室から屋外に避難する際の動線を確保するためベッドの左右はスペースを空けておこう。さらに、落下防止のため頭より高い場所に物を置くことを避ける。ベッドの脇に懐中電灯、ガラスなどが散乱した状況でも安全に歩くためのスリッパ、非常持出袋を置いておこう。

    (MAMOR2020年12月号)

    <文/臼井総理 イラスト/内山弘隆>

    自分を磨く自衛隊式掃除法

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