•  アメリカ軍のインド太平洋地域における戦略的根拠地である日本を自衛隊が守ることが日米同盟の中核となるならば、両者はお互いを信頼できるバディとしてタッグを組まねばならない。

     自衛隊とアメリカ軍は、いざというときに連携できるよう、さまざまな状況を想定した「日米共同訓練」を実施している。一部、参加した自衛隊員やアメリカ軍人のコメントも交えながら紹介していこう。

    画像: 米空軍機から陸自隊員が降下!? 「日米共同訓練」ってどんなことをするの?

    日米共同訓練(Japan-US Bilateral)

    1つの目標に向かって連携強化

    画像: 『こんごう』(奥)と『ブルー・リッジ』。通信や操艦などの訓練が行われた

    『こんごう』(奥)と『ブルー・リッジ』。通信や操艦などの訓練が行われた

     海上自衛隊の護衛艦『こんごう』とアメリカ海軍の揚陸指揮艦『ブルー・リッジ』による共同訓練が行われた。この訓練では、有事を想定した各種戦術訓練が行われた。これには、緊密な連携や互いの技量向上を図るほか相互運用性を向上する目的もある。

    直近実施日:2021年3月29日/実施場所:東シナ海/訓練目的:海上自衛隊の戦術技量およびアメリカ海軍との相互運用性の向上/訓練項目:各種戦術訓練

    「アメリカ軍の不屈の精神に学ぶところが多い」

    艦長として、与えられた任務を遂行するため隊員らを指揮する藤﨑1佐。「アメリカ軍に対しては、鎌倉武士のような頼もしさを感じます」と語る。その合理的で機敏な対応は実戦で培われたものとして参考になるという

    【第1護衛隊群 第5護衛隊 護衛艦『こんごう』艦長 藤﨑勝1等海佐】

     今回の共同訓練は、全乗員が一致団結して任務を遂行することを目的としていました。アメリカ海軍との相互に緊密な連携を確認し、戦術技量の向上を図ることができたと思っています。アメリカ軍には、困難な局面においても状況に応じて最適な手段を駆使して目的を達成しようという、決して諦めない不屈の精神やパワーを随所に感じました。

    米海軍・米空軍との共同訓練(Bilateral training with the US Navy and US Air Force)

    海・空軍機と任務遂行能力を向上

    画像: 編隊を組んで飛行する、アメリカ軍と自衛隊の航空機

    編隊を組んで飛行する、アメリカ軍と自衛隊の航空機

     戦術技量向上のため、太平洋上にてアメリカ空、海軍との各種戦術訓練が行われた。編隊飛行を行うなど、有事を想定した訓練により連携を強化した。

    実施日:2020年6月19日/実施場所:太平洋上の空域/訓練目的:日米共同対処能力および部隊の戦術技量の向上/訓練項目:各種戦術訓練

    「訓練での学びをフィードバック」

    【第8航空団 坂口卓1等空尉】

    F-2部隊の編隊長として、アメリカ軍爆撃機と各種の戦術訓練を行った坂口1尉。「言語が異なるため、コミュニケーションに気を付けています」と語る

     実戦経験が豊富なアメリカ軍からは学ぶべき点が多く、そのノウハウを自衛隊に取り入れることも共同訓練の目的です。アメリカ軍は細かいところまでマニュアル化され、全員がそれに従って任務を遂行しており、合理的で軍隊としての精強さを感じました。共同訓練を通じて、お互いにより高度な訓練を行っていければと思います。

    掃海特別訓練(Minesweeper special training)

    アメリカ軍と連携しながら機雷を処理

    画像: 機雷の処理作業を行う水中処分員

    機雷の処理作業を行う水中処分員

     掃海具などを用いて、機雷の敷設・処理や潜水訓練が共同で行われた。海上自衛隊の艦艇のほか、MCH-101、アメリカ海軍の水中処分員が参加しさらなる連携強化を図った。

    実施日:2021年2月1~10日/実施場所:伊勢湾周辺/訓練目的:海上自衛隊の機雷戦能力の維持および向上。アメリカ海軍とのさらなる連携強化/訓練項目:訓練機雷を使用した機雷敷設訓練、掃海訓練および潜水訓練/参加人員:海自約900人、アメリカ海軍約10人

    国内における米空軍機からの降下訓練(Airborne 21)

    アメリカ空軍機から陸自隊員が降下

    画像: アメリカ空軍の輸送機C-130Jから陸上自衛隊の空挺隊員が降下した

    アメリカ空軍の輸送機C-130Jから陸上自衛隊の空挺隊員が降下した

     史上最大規模の日米空てい作戦となった降下訓練。3日にわたり横田基地の輸送機C-130Jから空挺隊員と134個のコンテナを投下した。この訓練により、戦術技量の向上を図ることができた。

    実施日:2021年3月9~11日/実施場所:東富士演習場、アメリカ軍横田基地/訓練目的:空てい作戦に必要な戦術技量の向上/訓練項目:アメリカ空軍の輸送機からの降下、物資投下

    日米共同訓練(Japan-US Bilateral Training)

    ヘリ搭載護衛艦がアメリカ空母と戦術訓練

    画像: 空母『ロナルド・レーガン』(奥)を見送る『いせ』の隊員ら

    空母『ロナルド・レーガン』(奥)を見送る『いせ』の隊員ら

     護衛艦『いせ』とアメリカ海軍の『ロナルド・レーガン』、『シャイロー』、『ペコス』による戦術訓練が行われた。『いせ』はアメリカ軍の艦艇から燃料の補給を受けるなどし、システムや部隊が連携できる能力(相互運用性)の向上が図られた。

    実施日:2021年5月26~29日/実施場所:沖縄東方/訓練目的:海上自衛隊の戦術技量およびアメリカ海軍との相互運用性の向上/訓練項目:各種戦術訓練

    ILEX21-1(Japan–US Bilateral Training)

    連携した訓練で補給や戦術技量を向上

    画像: 補給艦『とわだ』(左)とアメリカ軍の『チャールズ・ドリュー』

    補給艦『とわだ』(左)とアメリカ軍の『チャールズ・ドリュー』

     沖縄周辺の海域で、航行中のアメリカ海軍貨物弾薬補給艦『チャールズ・ドリュー』に、海上自衛隊の補給艦『とわだ』洋上補給をする訓練を実施。『チャールズ・ドリュー』は弾薬のほかに水や食品、燃料などを輸送し、ヘリ2機を搭載している。

    実施日:2021年2月13日(第1回)/実施場所:沖縄周辺/訓練目的:海上自衛隊の戦術技量、アメリカ海軍との連携の強化/訓練項目:洋上補給

    ILEX21-2(Japan-US Bilateral Training)

    アメリカ軍の軍艦に自衛隊が燃料を補給

    画像: 燃料補給パイプを伸ばし燃料を送る『はまな』(左)と補給を受ける『アメリカ』

    燃料補給パイプを伸ばし燃料を送る『はまな』(左)と補給を受ける『アメリカ』

     補給艦『はまな』と強襲揚陸艦『アメリカ』により、相互運用性を高める訓練が実施された。これは、実動部隊を支援する後方部門である『はまな』の即応力の向上と日米の連携の強化につながった。

    実施日:2021年5月22日(第2回)/実施場所:四国南方の海域/訓練目的:海上自衛隊の戦術技量の向上、アメリカ海軍との連携強化/訓練項目:洋上補給

    (MAMOR2021年9月号)

    <文/古里学>

    自衛隊とアメリカ軍の緊密な関係を探れ!

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