•  日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう? ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。今回は海上自衛隊第2術科学校の「トルコライス」を紹介します。トンカツ、ピラフ、ナポリタンが1度に味わえる、なんともうれしいワンプレートメニューです。

    海上自衛隊第2術科学校とは?

    画像: 2術校内で行われる行進競技での優勝を目指し、一挙手一投足に集中して行進訓練に励む学生たち

    2術校内で行われる行進競技での優勝を目指し、一挙手一投足に集中して行進訓練に励む学生たち

     海上自衛隊第2術科学校(以下2術校)は神奈川県の三浦半島にある横須賀市の北部、田浦地区にあります。術科学校とは教育訓練を行う機関のこと。1952年、この地に海自の前身である海上警備隊が創設され、翌年、警備隊術科学校(54年に海自術科学校に改称)が発足して専門教育が実施されるようになりました。

     現在は術科の種類に応じて各地に第1から第4術科学校まであります。58年に開校した2術校では、艦艇の心臓ともいうべき機関、電機、応急工作および情報、技術、電子計算機、外国語など、特殊な部門の専門教育や、これらの術科に関する部隊の運用などについて調査研究が行われています。幹部、海曹、海士、事務官などの対象者別に教育課程が約40課程あり、毎年約1000人が巣立ち、各部隊で活躍しています。

    2術校流トルコライスのポイントは、スパゲティと……

    画像: ※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました。

    ※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました。

     日々勉学にいそしむ隊員の楽しみはやはり食事。海自では毎月29日(訓練などで実施できない場合は前後する)を食育の日とし、全国各地の郷土料理を提供することになっています。その際に作ったのが今回紹介する長崎のご当地グルメ「トルコライス」。

     発祥の起源や名前の由来は謎が多く諸説ありますが、ピラフ、トンカツ、スパゲティをワンプレートに盛り付けたボリューム満点料理です。郷土料理というと汁ものなどの副菜が多い中、当食堂ではメインになる料理を選ぶのだそう。2術校流のトルコライスのポイントは、スパゲティをしっかり具の入ったナポリタンにすること、そして目玉焼きをのせること、の2点です。

    隊員たちに食べた感想を聞いてみた

    画像: 学生や職員でにぎわう食堂。栄養バランスのとれた食事は、健康な肉体をつくるための基本となる

    学生や職員でにぎわう食堂。栄養バランスのとれた食事は、健康な肉体をつくるための基本となる

    「色鮮やかなワンプレートで、栄養バランスも良く、それぞれの素材の良さが生かされていて、とてもおいしかったです」【士長/男性・20代】

    「2術校には自分も含め長崎出身の学生も多く、故郷を思い出す懐かしい味でした。卵とパスタをからめるのがナイスマッチ」【3曹/男性・30代】

    「トンカツとソースの相性がグッド。好きなものが1度に3種味わえて食べ応えがあり、また食べたい1品です」【2曹/女性・20代】

    多くの隊員に笑顔で料理を楽しんでほしい

     海上自衛隊第2術科学校 技官医(管理栄養士)田口美香さんにもお話を伺いました。

    「当食堂の利用者は朝昼晩、およそ各300人。20代、30代が中心です。こちらの任に就いて丸3年ですが、いまだに献立作りの難しさを感じています。毎回全員に満足してもらうのは無理ですが、少しでも多くの隊員に笑顔で料理を楽しんでほしいです。

     前校長が立ち上げた、自衛隊横須賀病院、体育教官、栄養士による健康意識を高めるための講話などの取り組み「健康促進プロジェクト」(現在休止中)にも関わってきて、自身の勉強にもなっています。今後も隊員に食と健康の密接な関係を知ってもらえるよう、貢献したいと思います」

    2術校流「トルコライス」のレシピを公開

    <材料>

    [ピラフ]
    米:約2/3カップ(100g)
    むきエビ(冷凍):10尾

    <A>
    水:1/2カップ弱
    タマネギ(みじん切り):1/8個
    ニンジン(みじん切り):1/8本
    洋風スープのもと(顆粒):小さじ2
    白ワイン:小さじ1

    塩、コショウ:各少々

    [トンカツ]
    豚ロース肉:2枚(1枚100g)
    塩、コショウ:各少々

    <B>
    小麦粉:適量
    溶き卵:1個分
    パン粉:適量

    揚げ油:適量

    [ナポリタン]
    スパゲティ(1.6㎜):60g
    オリーブ油:大さじ1
    ニンニク(みじん切り):小さじ1/2

    <C>
    ウインナーソーセージ(斜め薄切り):1本
    タマネギ(薄切り):1/4個
    ピーマン(薄切り):1/4個
    ニンジン(千切り):1/8本
    マッシュルーム缶(スライス):40g

    <D>
    トマトケチャップ:大さじ2
    ウスターソース:大さじ1
    バター:6g
    砂糖、塩、コショウ:各少々

    [付け合わせ]
    目玉焼き2個、レタス(太めの千切り)とパプリカ
    (黄・赤、千切り)各適量をさっと混ぜたもの、デミグラスソース(市販品)と赤ワインとトンカツソース各適量をさっとひと煮立ちさせたもの

    <作り方>

    1:ピラフを作る。米はといで浸水させ、ザルにあげておく。冷凍エビは片栗粉と塩各適量(各分量外)で軽くもみ、5分おいて洗い、水気を拭く。炊飯器に米、エビとⒶを入れて普通に炊き、炊き上がったら塩、コショウで味を調える。

    2:トンカツを作る。豚肉は包丁の背でたたいて筋を切り、塩、コショウをふってⒷの小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせ、パン粉を付ける。170〜180℃に熱した油できつね色になるまで揚げ、油をきる。

    3:ナポリタンを作る。たっぷりの湯に塩適量(各分量外)を加え、スパゲティを表示どおりにゆで、湯をきる。フライパンにオリーブ油とニンニクを入れて中火で炒め、香りが出たらⒸを入れて炒める。Ⓓで調味し、ゆでたスパゲティを加えて全体を1分ほど炒めからめる。

    4:器に①を盛り、②を切ってのせ、③も盛る。目玉焼き、野菜、ソースを付け合わせる。

    トルコライスの名前の由来は?

     長崎で1950年代に誕生したとされる“ご当地グルメ”。トルコではピラフのことを「ピラウ」と呼び、昔から親しまれている料理なのだそうだが、それに日本人がおかずを付け足したからトルコライスと呼ばれるようになったという説、ピラフ、トンカツ、スパゲティの3つの料理がのっているワンプレートだからトリコロールと呼ばれ、それが訛ってトルコライスになったという説など、その名の由来は諸説ある。ただ、トルコライスがトルコの料理でないことは違いない。

    (MAMOR2021年1月号)

    <調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/山川修一(扶桑社) 写真提供/防衛省>

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